例えば、一人の優れた花道家が百点の作品を自由に創作したとします。しかし、その全ての背景や構造を分析していくと、必ずそこには類似点が見つけ出されます。これを理論化すれば、その人の価値観や世界観に基づく芸術精神が、作風を支える造形意識として想定することができるのです。
花道界における流派とは、先達から継承された伝統や現代家元
の作風の範疇に入る組織です。その中で、より創造的な展開が可能だからこそ今日あり、またそう在るべきと考えます。何故ならば、自由な作家の集団であれば、それは流派ではなく、院展や日展などと同じ団体になってしまうからです。
花芸安達流は、これを独自の理念に基づく造形理論として確立し、全会員が流派教授活動や創作活動を全国に広げながら花芸の心を伝えています。
尚、技術的な問題はこの項目から除きました。
構成三原則 文法
構成三原則の第一は、「文法」で、六つの格と二つの相"六格二相"から成り立っています。立体的な造形物を詩歌と同じように、心像で語る「造形言語」と理解します。それは、決して数字やアルファベットではなく、花道の伝統を踏まえた、作品構成上の基本的な「概念」なのです。
- 主格―― 素材の生命表現の主役
- 対格―― 素材の生命表現の相手役
- 附格―― 素材の生命表現の第三者
主要(原型)三格
- 属格―― 素材の生命表現の脇役
- 処格―― 素材の生命表現の舞台
- 呼格―― 素材の生命表現の小道具
連要(連型)三格
- 展 相
- 処格の外部空間に発展的な働き
- 地 相
- 処格の内部空間に発展的な働き
- 花/(属)ユーカリノキ(種)バラ 器/円すいばん
- 花/(種)ヒマワリ (品)スマイラックス
(属)イボタノキ 器/川かご
- 花/(種)シュッコンカスミソウ (属)グロボーサ 器/円石